動物たちは初期症状を表に出すのが苦手で、 どんなに可愛がってても初期症状に気づかない、気づけないことが多々あります。 また目に見えない部位の腫瘍等は初期の段階では、まず検査しないと発見できません。
人では病気の早期発見は当たり前の考え方になっていますが、 残念ながら動物病院で診る病気は進行しているケースが多いのが現状です。 その現状を打破するために、ご来院される飼い主様へ定期健診の重要性をお話するようにしています。
今まで、 無症状で健康と思われる子に健康診断をして見つけた病気の一部をあげると、肺腫瘍、脾臓腫瘍、肝臓腫瘍、腹腔内精巣腫瘍、 卵巣子宮疾患、前立腺疾患、胆嚢疾患、膀胱腫瘍、膀胱結石、腎結石、尿管結石、 心疾患、腎機能低下、肝障害、甲状腺機能低下症、 甲状腺機能亢進症など多々あります。
もちろん全てが治療対象になるものではなく、すぐ診断、 治療が必要になるものから経過を観察しながら治療を考えていくものまで様々です。
一般的には5~6歳をすぎたら年に1~2回、 10歳を過ぎたら年に2~3回くらいと言われています。付け加えれば、 5歳以下でも年に一回は健康診断を受けたほうが良いと思われます。(先天性疾患やミニチュアダックスの若齢の悪性リンパ腫等若くても発生する悪性腫瘍等があるため)
体重・体温の測定、視診、触診、聴診(心音・呼吸音・腹部)、血圧測定などの総合的な検査です。
糞の中に寄生虫の卵がないか、腸内細菌の異常の有無などを調べます。
尿糖、尿蛋白、尿比重、尿結晶の有無などを検査します。
貧血や栄養状態のほか、肝臓・腎臓などの機能状態を検査します。血液の中の寄生虫を見つけたり、体のどこかに炎症などの異常が起きていないかを調べることができます。
レントゲンでは確認しにくい病気や異常を、超音波診断装置を用いて検査します。心臓の内側の状態や血液の流れ、腹部臓器の腫瘍を確認することができます。
各臓器の大きさ、形、位置などを確認して、異常がないかを調べます。
涙の検査、傷の有無、眼圧測定、スリットランプ検査、眼底検査を行います。ドライアイや緑内障、白内障、網膜剥離、網膜変性症などの病気を見つけることができます。
心臓の活動電位を測定。不整脈や心疾患の有無・状態などを確認できます。
先端にカメラのついた管を体内に入れることで、胃や腸の中をモニターを通してチェックします。
誤って飲み込んでしまった異物を見つけて除去したり、胃や腸の中の異常を確認することができます。
大事な事は、わんちゃん・ねこちゃんの年 齢、犬種、 病歴等に加え飼い主様の考え方・希望を尊重し、十分なお話をした上で、 何の検査を組み合わせていくかを決定します。 もし異常が認められた場合の追加検査もお話をした上で実施します。
大切な家族と少しでも長く健康で幸せな日々を送るためのひとつの行事みたいなものだと考えていただければと思います。
これを機に定期的な健康診断を受けてみませんか?